たたえていた女性が



昨日まで屈託のない笑みを浮かべていたのに、
今日は、かすかな笑みさえも消え失せて、人から離れてポツンといる。
そんな様子を見るとすれば、"失恋"だと思うだろう。

そんな女性ではなく、いつもと変わらない明るさで、
「もう、暑くなっちゃって、、。
短い方が手入れも簡単で済むから、思いきって髪の毛、切っちゃったの」
と笑みをたたえながら言ったとしても
"失恋"じゃないかと思うところがある。
実際のところ、長い髪の毛を切る北角 補習という行為は、
心理的にケジメをつけるサインである場合が多い。

日本の梅雨の頃に現れる星座に ”かみのけ座”というのがある。
厚い雲に覆われている頃だから、専門的な人でない限り見た人は少ない。
この星座は、古代ローマ時代からある星座で、
現在の88星座の中におさまっている。
”かみのけ座” とは、また、かすかな名前が付けられたものだと思うが、
疑う事なかれ、史実に基づく由来を持っている希有な星座でもある。

この星座の由来となる、コマ・ベレニケは、エジプト・アレクサンドリアの王女。
紀元前3世紀に実在していた、琥珀色の美しい髪の毛を持つ女性。
夫は、かのプトレマイオス三世。
彼女は、戦地に赴いた王の戦勝を祈願して長い髪の毛を切り、神前に捧げた。
それが聞き入れられ、勝利することとなった。
彼女の捧げたの髪の毛は、天に昇り、獅子座の尾の部分となり、
”かみのけ座”と称されるようになったという。
そんな風に、長い髪の毛を切ることは、女性の強い思いをもってする行為と言える。

思えば、女性は若い間、長い髪をしている場合が多い。
ところが、中年以上の女性の大半は、ショートカットに変わっている。
結婚生活の中で、長い髪を切ったその日が存在する。
それは、夫に愛想が尽きたというケジメの日だろうか?
夫はその記念日に気づいていない。
PR